2009年9月7日月曜日

ロシア大使館


トランジットビザ取得のために飯倉にあるロシア連邦大使館に行ってきた。

ガチャンと大きい音をたてて閉まる鉄の扉をくぐりぬけ、ふたつある無機質なドアの右側、入口とある方を通る。進んでいくと領事部の玄関がある。玄関の前で携帯電話で話をしていたスーツ姿の男がこっちをチラっと見てタバコの煙をはきだした。

室内に入ると、ちょっと荒んだ雰囲気の簡素な事務的待合室。番号札をとって、椅子に座る。まわりに目をやると、目の前には日本のパスポートを10冊ほど抱えていてひとつひとつに目をやっている若い女の子。入口にはひざ丈パンツにポロシャツという姿で小型のアタッシェケースを持っている40歳前後の男性。地味な中年の女の人とサングラス姿に金髪のモヒカンがのびてしまった髪型のチャラいふたりの若者の三人組。呼び出し番号の電光掲示板の前でそわそわ慌てた様子で行ったり来たりしている(たぶん)アメリカ人男性。私の斜め前で文庫本を読んでいるトートバックを肩から下げた大学生風の男。

なんだか今にも密室殺人劇でも始まりそうな個性的な面子。

自分の番号が呼ばれたので三つある窓口の一つへと急ぐ。右二つが受付で、一番左が支払い窓口。一番右には大学をでたばかりという雰囲気の若いロシア人。バリバリに固められた金髪の七三がロシア連邦の公務員というイメージそのままでちょっとワクワクした。私の対応をした真ん中の窓口の人は日本人のような顔立ちの無愛想な男の人。こちらを下から上へじろりと睨めつけると書類をよこすようジェスチャー。メキシコの両替屋みたいにふたりの間はガラスで仕切られている。書類も直接コンタクトできないように目の前にある引き出しに書類をいれると向こう側でそれを引いて取り出す。

会話もインターホンで。片言の日本語で「名字が変わったことはないですか?」と訊かれ、「(ビザは)シングルでいいですね」と確認。最期に「いつまでに必要ですか?」と訊かれた。2週間後受け取りだと手数料はかからないので2週間後というと左側の支払い窓口に行くように頭で示された。

隣の窓口ではさっきまで妙にあせっていたアメリカ人が支払いをしていたのだけれど、ニコリともしない担当のロシア人女性に愛想良くヘコヘコしていた。その対比がなんだかおかしかった。私もその窓口で英語とロシア語で印刷されたレシートをもらった。

来た道を戻って外に戻った。鉄の扉が後ろでガチャンと閉まるのを聞きながら、なんだか異空間から日常に戻ったような不思議な感覚。私の対応をしてくれた人があの閉ざされた空間で急に苦しみ出して絶命、疑われるのは私を含めて待合室にいた面々。ロシア大使館に拘束されて、取り調べを受ける。そんなストーリーを想像してニヤニヤしながら六本木駅へと向かった。

2 件のコメント:

  1. あらぁ
    お久しぶりっこ★

    この出来事を事細かく記憶し、
    そして
    それを事細かくブログに書くことが
    すごいんですけれどぉ…笑

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  2. すごい強烈な異空間だったから、
    目に焼き付いてしまったよ!

    匿名って!ひとりしかいないと思うけど、
    違ったらどうしよ 笑

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