カメラを持った男(1929)_監督ジガ・ヴェルトフ
Man With A Movie Camera(1929)_Dziga Vertov
1929年のサイレントドキュメンタリー映画。人気のない劇場に人が入り映画は始まる。旧ソヴィエト、現在のウクライナの都市オデッサ、朝になったばかりの人気のない街の風景が映し出される。人々が目覚め、都市が動き出す。結婚、離婚、葬式、出産など当時の都市生活の様子が多重露光、ストップモーション、スローモーション、早回し、移動撮影など当時の最先端の撮影技法を多用した先鋭的なカメラの視線で記録された作品。
斬新。80年も前に撮られた映画とは思えない。市電やフラッパー娘、海辺での海水浴が出てくる映像を見て、ケストナーのエーミールシリーズをふと思い出して調べてみたら、「エーミールと探偵たち」が書かれたのが1928年。休暇を利用してベルリンの祖母に会いに行ったエーミールが託されていたお金を相席した男に盗まれてしまうけど、高層ビル、ネオンサイン、車の洪水、新聞社、映画など新しいものがたくさん集まっているベルリンに住む少年たちと協力して犯人の男を捕まえる、「新しさがまだ新しかった時代」の話。この時代の作品には新しいことにワクワクする気持ちが閉じ込められている気がする。
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