2009年11月27日金曜日

燃えてしまえ!(エジプト3日目)

「お前の家など燃えてしまえ!」
アラビア語で人をののしるときにはこの一言!性的な意味の多いスペイン語の罵り言葉に比べるとなんだかかわいらしい。

さて、3日目はギザのピラミッドへ。

タクシーの運賃は15から30ポンドが目安だよとの言葉を胸に友人の家を出発。最近カイロで導入されたのがメーター式のタクシー。友人の話では代金の交渉は必要ないし、場所によっては普通のタクシーより安いことも多いのでよく利用していたのだけれど、どうにも最近メーターに仕掛けがされているのか、あれ?高い!と思うことが増えたという。

大通りに出てタクシーをつかまえようとするとメーター式の白いタクシーがちょうど来たので乗ってみる。運転手が同行者の男の子に助手席に乗れと言ったので、私はメキシコと同じだと思いながらひとりで後ろに座った。そのほうが運転手も話しやすいのだろうし、一度メキシコで運転手が説明してくれたことには心理的な距離の問題でもあるらしい。大まかに言うと、運転手が前で客が後ろに座るという図式は、運転手のほうが地位が低いという感じを与えるのだとか。

ギザへと向かう道すがらどんどんメーターは上がっていく。これは仕掛けのあるタクシーに乗ってしまったかなと思いながら、外を見る。荷台に大量のむきだしのパンを乗せたトラックが横を走っていく。そのうちにピラミッドが見えてきた。すると2、3回それぞれ別の若い男がタクシーの運転手になにかを話しかけて、運転手がそれを断っている。問題なく着ければいいけれど、あやしいなと思っていたらやはり裏道に車を止めた。そこに運転手の知り合いらしい黒いガラベーヤを着たおじさんが近寄ってきた。その時点でタクシーの料金は30ポンド。ここで時間をとられたらタクシーの運賃は上がっていくし、変なことに巻き込まれそうだしと急いで降りてお金を払って入口へと歩いて行く。想定内の料金だけれど、嫌な気持ち。どこかのお店に連れて行かれるならともかく裏道はなにが起きるのかわからないから怖い。とはいうものの、エジプトに来る前にラクダ乗りの勧誘や物売り、タクシーがしつこくて大変だと聞いていたけれど、友人の話では以前は断ったり無視すれば罵られたのに政府の方針が変化したのか数ヶ月前から妙に礼儀正しいらしい。確かにしつこくない。そしてカイロは治安がいい。

思ったよりも迫力なくただただ暑かったピラミッド。じりじりと照りつける日射しの中、スフィンクスから何とか王のピラミッドへと歩いて行くだけで大変。馬車もいるけれど、下がアスファルトの道で馬が滑ると御者がペチッと鞭で叩いていた。場内には入らず、スフィンクスの目線の先にあるというピザハット、もしくはケンタッキーから見るくらいがちょうどいいかも。ピラミッド登頂も禁止されている。疲れてピラミッドの一番下の石に座っているとおしゃべりしていたのにときどき思いだしたようにピーっと笛を吹いて注意するのは、カイロのいたる所で見かける白い制服のおじさん。警察なのだろうけど、よれっとしているのは暑さと埃のせいかな。

ピザハットは高いから、エジプトの庶民料理コシャリを食べに行こうと言われたのでカイロのタフリール広場の方へバスで戻ることにした。エアコン付きだと2ポンドらしい。バス停を探してぐるりと歩いてもよく場所がわからなくて困っていたところに、「ギーザギーザ、メトロギーザ」と叫ぶおじさんのバスがやってきたので駆け寄って乗った。メトロのギザ駅まで出てしまえば地下鉄でタフリール広場まで行ける。このバスはエアコンなしで75ピアストル。

コシャリは米とマカロニ、スパゲッティなどのパスタ、ヒヨコ豆、レンズ豆に揚げた玉ねぎとトマトソースをかけた料理で5ポンドほど。安いけれど味が単調で、最初の5口くらいはおいしいけれどあとはなかなかスプーンが進まない。酢や唐辛子ソースなどをかけてごまかしながら食べるのにも限界があって完食できず。非常に予算がきびしい旅の人は毎日これを食べるらしいけど大変だなと思いつつ今回の旅の同行者がどうもそういう旅のつもりでいるらしいことに薄々気づく。私だって予算が多いわけではないけれど、あまりに細かいと嫌な気持ちになる。なんとなくこれからが不安になってきた。

2 件のコメント:

  1. ”売春婦の息子!!”より日本の”おまえのかーさん
    でべそ!”に近いですね。

    ピラミッドよりも、ぼったくりタクシーのほうが
    気になって仕方がないあたり、旅情感たっぷり。

    返信削除
  2. 霊厳寺さん

    スペイン語の罵り言葉汚いですよね。

    裏道なんてメキシコシティでタクシーに連れていかれたら金目の物全部投げ出して命乞いしなくちゃというイメージだったので、カイロの治安のバロメーターがよくわからなかったのですよ。今思うと、エジプトの裏道はそんなに命の危険はなさそうだったかも。

    返信削除