2009年7月21日火曜日

我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか




国立近代美術館で開催中のゴーギャン展に行った。とにかくすごい人。ぞろぞろ進んで作品を見るのはとても窮屈だったけれど、思えば生涯を通してひとりの画家の作品を見るというのは初めて。その人の傑作を一点どーんと見るよりも、時期による変化が見えておもしろいかもしれない。

ゴーギャンと言えばなんとなくすごい自我の強い人というイメージがあって敬遠していたのだけれど、今回観に行こうと思ったのは、ポスターで見た彼の絵の色がとてもきれいだったから。でも、もちろんそれがゴーギャンの時代の先端だということはわかっているけれど、5月に行った森美術館のティッセン・ボルネミッサ現代美術財団「万華鏡の視覚」という展覧会と比べてしまうと、見るという感覚だけに頼った絵画の限界というものを感じてしまったし、キャプションも言葉は多いのになんだかものたりなかった。

「万華鏡の視覚」で特に印象に残ったのが、ジャネット・カーディフの《触ること》Janet Cardiff "To Touch"。暗い部屋にスポットライトのあたった古い木造の机が置いてあって、その机の表面を触るとセンサーが反応して部屋の暗がりからささやき声や車のぶつかる音などが聞こえてくるというもの。聴覚と視覚で呼び起される感覚というのは初めてなのになんだか懐かしい。外部からの刺激に呼応して内部の眠っていた記憶がよみがえる感覚の蠢きがとても心地よかった。

「光、色、音、言語、概念、コミュニケーション。視覚だけでなく、聴覚や触覚など、人間のさまざまな感覚をあらゆる方向から刺激する作品と出会い、現代アートの醍醐味を体感」するという説明が明確に伝わってきてとてもおもしろかったのだけれど、そう私から薦められて観に行った友人は逆に感覚が揺さぶられてしまって目眩。気持ち悪くなってしまったという。なかなか難しい。

帰ってきて芸術新潮7月号、ゴーギャンの人生という特集を読む。ゴーギャンがやたら13歳の女の子にちょっかい出していたことを知った。

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