2009年3月20日金曜日
美と性別
『花の生涯 梅蘭芳』の後半はレオン・ライになるとやはりレオン・ライという展開。そこが魅力なのだろうけど、いまひとつ烈しさが足りないといつも思う人。
青年時代の梅蘭芳(余少群)の匂いたつような色気に興奮したのは前半。
現代悲劇『一縷の麻』を演じる姿には私も生唾をごくり。
「芸術が自然を模倣するのではない。自然が芸術を模倣するのだ。」とオスカー・ワイルドは言ったけれど、1907年から1908年にかけて軍と皇帝政府内のホモセクシュアル・スキャンダルに揺れていたドイツ。
1908年に外交問題でげっそりしたヴィルヘルム2世がお気に入りの男たちのグループで、シュヴァルツヴァルト(黒い森)の狩猟で気晴らしをしようとした。ところがその夜のパーティでとんでもないことが起こる。
軍事秘書官長ディートリヒ・フォン・ヒュルゼン=ヘーゼラー伯爵はその夜の宴会の余興で、テュテュを着て、バレリーナに扮し、パ・スールを踊ったのであるが、心臓麻痺を起こして急死。ショックで皇帝も失神してしまう。
『ホモセクシュアルの世界史』(文春文庫、海野弘)のこのくだりを読んで電車の中で思わず笑ってしまったと話すと、「妄想ならなんでも自由だと、なんでもできると思っていたけれど、敵わないね。絶対に思いつかないもの」と友人は言った。
もうちょっとこの世界に浸ってみようと竹宮惠子の『風と木の詩』を再読するために注文した。なぜか近所の図書館には『風と木の詩』『日出処の天子』『残酷な神が支配する』が揃っていたのだけれど、どういう基準だったんだろう。マンガだと思って手にとった小学生の期待を良くも悪くも裏切ることは間違いないのだけれど。
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