2009年2月13日金曜日
どこかしらんが、そこへ行け、なにかしらんが、それをもってこい!
美しいお妃と結婚した殿さまがいました。
ところが、ゆっくりお妃に見とれるひまもなく、
ゆっくり話しあうひまもないうちに、別れなくてはなりませんでした。
お妃をのこして、とおくへ旅にでかけなくてはならなくなったのです。
しかたがないこと。一生だきあってばかりはいられない、というではありませんか。
どうですか、このさばさばした物語のはじまり。
ルイス・キャロルが少女たちにあてた手紙を集めた『少女への手紙』や
アンデルセンの『絵のない絵本』を読んで、
好きでもない男の人に彼自作の詩をおくられたような(そんな経験ないけど)
もしくは友達の彼氏が友達のためにラブソングを歌ってるのを横で見ているような
波打つロマンチックに辟易とした気持になった私にはこのさっくり感が魅力的。
というわけで、「大人にも読んでもらいたい絵本です」という風潮にのっかってみて
『ロシアの昔話』(福音館文庫)がすばらしくおもしろかったわけです。
えー?ひとつも努力してないんですけど、
と思わずつっこみたくなるようななまけものが成功する話。
おろおろするおおかみ。
うんとこしょ、どっこいしょ。
とくにお気に入りなのはどうやらロシアでは、地面にぶつかると鳥になれるらしいということ。「わし(鷲)は、地面にからだをぶつけて、りっぱな若者になりました」
キュートな動物。魅力的な言い回しにゾクゾク。飛躍する展開にワクワク。
イワンやフョードル・ツガーリンといった耳馴れない登場人物の名前も素敵だけれど、ペチカにババヤガーといった言葉の、意味が正確にはわからないけれど、どうやらそういうものらしいという心地よい置き去り感。
そうそう。子供のときは知らない言葉がでてくると一生懸命その前後の情報を拾って頭の中でその言葉の感覚を組み立てていたのでした。
(だからかな。辞書を使ってスペイン語を読んでしまうとこの組み立てる感覚がないのは)
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