2009年5月31日日曜日

板橋のラスベガス


レッドロブスターで高校時代の友人の誕生日会。仕事の都合で1時間以上の遅れ。池袋で心が折れてあきらめそうになったけれど、電話をしたら待っているという。少し黄ばんだ蛍光灯の東武東上線各駅停車に揺られて、上板橋まで。友人のアバウトな指示に従って着いたのは、落ち着いたジャズの流れるアメリカンな装いの店内。向かいにはトヨタレンタリースとパチンコ店のまばゆい光。



なかなか会う機会のない友人というのは過去からの使者、または刺客ともいうべきもの。時間の経過とともに封印したはずの記憶が突然現在に甦る質問というのは想像以上に暴力的。痛くないけれど、やたら血が出る大人ニキビみたい。その点、この日のメンバーは7年ぶりだったり、前に会った時のことが思い出せなかったりしても、軽く「ひさしぶり」の一言でOK。もう子供が3人いて、最初の子がもう小学生だったり(その夜は子供達に、大人しか行けないすごく面白い所に行くといって家を出てきたらしい)、ほかの一人は知らない間に結婚離婚していたりもするのだけれど。

今度出席する結婚式で吹奏楽部で一緒だった花嫁とともにエアートランペットをしようかなと思っていると誕生日の主役が言う。結婚式に勇猛なトランペットの音色を、しかもエアーで。笑いが止まらなくなったけれど、せっかくなのでレッドロブスターの昔のCMの曲を歌いながらみんなでエアーセッション。



今度会うのは一体いつだろう?

2009年5月14日木曜日

浮かび上がる

みごとな心霊写真をある人に見せてもらった。

関西のある山にハイキングに行った写真。濃く深い霧に包まれた森の中の朽ちかけた山小屋。暗くて何も見えない室内に入り、フラッシュを用いて適当に撮った4枚だという。

最初の3枚は室内であるにも関わらず、写真一面に霧のような、白いカビのようなものが写っていて、見ようによっては骸骨のような、人の顔のようなものが浮かび上がって見える。でも、なにより不思議なのは最後の1枚だけが鮮明に写っていたのだけれど、そこには30年前にその山にハイキングに来てそのまま行方不明になってしまった女の人を探す年を経て古びたポスター。

とても感心したのだけれど、好きな音楽がヒップホップだという答えが私たちの決定的な方向性の違い。好みのまったく違う人と話すと逆に自分の輪郭が見えてきておもしろい。

12日にスペインの歌手、Antonio Vegaが亡くなった。メキシコの映画Amores Perrosのサントラで知った人。Lucha de Gigantes。ひさしぶりに聴いたら、忘れていた風景が頭の中に浮かんできた。



2009年5月8日金曜日

わからない瞬間


どうすればよいのかわからない瞬間に出くわす。友人の隣の家から、DVの音が聞こえてくるという話もそう。

休日でごった返す駅の中、ひきつった女の人の声。「なんで言うこと聞かないの!!」バチン、と叩く音がした瞬間、小さな男の子のヒステリックな甲高い鳴き声が響き渡った。そして、さらに激昂し、怒鳴り続ける母親の姿。

GW中、上野アメ横の人込みを避けて昭和通りを歩く。御徒町近くの銀行の横で座りこんでいる男の姿に違和感。よく見ていると、不似合いな女物の財布を持っている。しかも、複数。掏りか?いやいやまさか、と思っていると、きれいな緑色の財布をガバっと広げて千円札の束を抜き取り、次の財布に手をつけた。

スターバックスで本を読んでいると、聞こえてきた隣の会話。20代前半くらいの女の子が言う。「これ甘くて、おいちぃ」。思わず横目で女の子の顔を確認。すると、彼女はもう一度言った「これ甘くて、おいちぃね」。ある意味、私の認識を揺るがした瞬間。

パンデミック、パンデミックと言われていた冬だったけれど、メキシコから、しかも豚で来るとは。。メキシコの今の話を聞くと、経済危機と相俟って社会の状況は決していい状態ではない。でもみんなどこかのんびり。学校を休みにしても、小さい子供の面倒をみてくれる人がいない家庭では父親や母親が自分の職場に連れて行くからあまり意味がないという話をした後に、México es un chiste(メキシコそのものがジョークだよ)とメキシコ人の人が言った。



2009年5月4日月曜日

犬は吠えるが、キャラバンは進む

昨日みたのはドバイの砂漠の夢。

というのも、あるブログでUAEのハムダン皇太子について書かれていたことがあまりに面白かったのが原因。ただのイケメン皇太子ではなくて、超お金持ちのイケメン皇太子。





2億円相当のラクダを何頭か購入した話とか、アーティストに家を提供したり、借金を肩代わりしてくれたり、お抱えのサッカーチームのある選手の口座に毎月1500万円ほど入金していた話。皇太子を称える詩を書いた6人に車ランドローバー(1千万円以上)を贈った話とか。
桁違い過ぎておもしろすぎます。本当にこんな国があるんですね。

彼専用の公式HPなんかもあったりして。下手なハリウッドスターよりもすごいプロモーション力。皇太子が詩を朗読するビデオ。すごい!!砂漠を馬で駆け抜け、メスライオンと庭で戯れる。PVみたい。。



この動画は皇太子を称える踊り。これが2億円のラクダでしょうか。ラクダって高価いんですね。


話はガラリと変わるのだけれど、近頃読んだ本に紹介されていたマーク・トゥエインの文章。

「人生それじたいが幻だ、夢なんだ。寂寞たる空間以外に、君以外には何も存在してない。だいたい君は君じゃなくて単なる思念にすぎないし、おれだって君の夢にすぎない」(不思議な少年)

そう。時々ここに行き着いてしまう。日々日常で話している言葉もすべて自分ひとりの自己完結した世界の経験に基づいて理解していると思っているに過ぎない。

でも、だからこそ自分の言葉で表現したり話すことが大事だし、また同時に、音楽やダンス、人を選ばずに陶酔させてしまうような強い感覚が夢を越えて人をつなぐこともあるんだと思いたい。まぁ、それはときにはお酒の力だったり、単純に肌と肌が触れ合うことだったりするのではないかな、なんて最近考えています。